偽薬的マインドセット – 期待の力が身体を変える
マインドセットが身体に与える影響を探る最新研究をご紹介します。プラセボ効果を「偽薬」の枠を超えて捉え、日常生活で活用する方法を考察します。
🧠 プラセボ効果からマインドセットへ
前回ご紹介したプラセボ効果は、痛み、片頭痛、不安、うつ、不眠、勃起不全、パーキンソン病などに効果が期待できることをお伝えしました。さらに、偽薬だと知っていても効果が現れる「オープンプラセボ」現象も確認されています。
では、この効果を応用して、病気の症状改善以外にも理想的な身体変化を起こすことは可能でしょうか?
🔬 ハーバード大学の革新的研究
📝 実験概要
- 対象: アメリカのホテルで働く84名の女性ハウスキーパー
- 事前調査: 2/3が「日頃エクササイズを行っていない」と回答
- 実験方法: 2つのグループに分けて実施
💬 実験
一方のグループにのみ以下の情報を提供:
「あなた達の仕事は、公衆衛生局が推奨するアクティブなライフスタイルのためのフィットネスに相当する」
1ヶ月後、情報を与えられたグループのみに以下の変化が確認されました:
- 体重減少
- 血圧低下
- 体脂肪減少
- ウエストヒップ比改善
- BMI値減少
🔍 何が起こったのか?
単なる労働だと思っていた日々の仕事が十分なエクササイズにあたることを知っただけで、実際に身体的変化が現れました。これは、知識が期待を生み、その期待を身体が実現した例と考えられます。
– Alia Crum博士(研究責任者)
🍃 「病は気から」の励ましとの違い
病は気から?
日本でよく使われる「病は気から」「何事も気の持ちようだ」という励ましには、プラセボ効果の重要なファクターである「儀式」が欠けています。
→ 本人の気持ちだけに依存、他者の関与が不十分。医者からの偽薬の処方(信頼できる人からの行為、医師の期待に答えたい深層心理)にあたる「儀式」を作れるか?
→ 他者の期待 + 具体的な行動(儀式)が含まれている
つまり
プラセボ効果やマインドセットの力を活用するには、単に「本人の気持ちの問題」ではなく、他者との関わりが重要な鍵を握っています。
必要な2つの要素
- 他者が介在した「儀式」 – 具体的な行動や手続き
- 他者からの「期待」 – 相手への前向きな期待の表明
💼 職場での応用例
リーダーシップへの応用
→ 具体的な期待 + 責任の付与(儀式)= パフォーマンス向上
🌟 日常生活への応用
家族・友人・同僚との関係で
- ポジティブな期待を込めた言葉をかける
- 具体的な行動を伴って支援する
- 相手の能力や可能性を信じて表現する
⚠️ 注意点
逆に、ネガティブな言葉や期待は、その逆の効果を生む可能性もあります。私たちが何気なくかける言葉が、想像以上に相手の心身に影響を与えている可能性があります。
🎯 まとめ
プラセボ効果の研究は、人間の心と体の結びつき、そして人との関係性が持つ力を改めて示しています。
マインドセットを変える力は、一人では限界があります。他者からの適切な情報提供と期待が、人の潜在能力を引き出す鍵となるのです。
参考
https://dash.harvard.edu/entities/publication/73120378-866b-6bd4-e053-0100007fdf3b
Mind-Set Matters Exercise and the Placebo Effect
Alia J. Crum and Ellen J. Langer
Harvard University
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https://youtu.be/0tqq66zwa7g?si=bCQTDoW0hFHbLR3w
Change your mindset, change the game
Dr. Alia Crum
TEDxTraverseCity